サンデー毎日2015.11.29号より抜粋
「1000円カット」のイメージを覆す!カット専門美容室「PURE CUT」
圧倒的な価格競争力で消費者のニーズを掴み、堅調に市場を拡大している格安ヘアサロン。中でもJR中央・総武沿線を中心に19店舗を展開する「PURE CUT」は、”質よりも安さ・速さ”という「1000円カット」に対する従来のイメージを覆すカット専門の美容室だ。
ベッドタウンの駅近に構えたどの店舗も連日多くの利用客で混み合う最大の要因は、税込みで1080円とは思えないほどハイレベルなカットの技術にある。「あくまでも、一般的な美容室が提供するサービスの中から『カット』の工程だけを抜き出したのが『PURE CUT』。一日に何十人もの髪を切る美容師の才能と努力によって、どの美容室にも負けないカットの品質を追求しています」と、技術力に絶対的な自信を持つのは同店を経営する株式会社ピュア企画の鈴木盛夫社長。ジャスダック上場の細田工務店に勤務していた当時から同店の事業に携わり、3年前に一念発起して独立を果たした。
多くの「1000円カット」がカット時間を10分程度と謳うのに対し、同店は時間に執着することなく1人ひとりの要望と向き合い、丁寧なカットとホスピタリティー溢れる接客を徹底している。プラス250円(税込)の指名制度も導入し、”いつも”の美容師に任せられる安心感が利用者の固定客化に繋がっている。
「美容師の仕事は職人的ですが、お客様から頂く『ありがとう』で成り立っています。技術だけでなく付加価値でお金を頂けるような質の高いサービスを提供すれば、お客様が離れることはありません」(鈴木社長)
実際、他の美容室でパーマやカラーリングを行う前に同店を訪れ、信頼が置ける美容師にアドバイスを求める常連客もいるという。
また、ホームページ上で宇都宮の2店舗を除く各店舗の待ち時間をリアルタイムで公開。連動する受付サイト「EPARK」を使って携帯電話などから店外受付をしておけば、順番が近づいたことをメールで自動的に知らせてくれる。入店してからの待ち時間を短縮できる嬉しいシステムだ。
こうした顧客視点のサービスの背景にあるのは、政治家を志していた鈴木社長の思いと大胆な改革。スキルが生命線となる美容師の雇用を守るために社会保障を完備していることも、業界では異例である。
「理美容業界に無縁の私が感じることは、お客様の視点に近いはず。政治家を志したものとして社会に貢献するためにも美容師が生涯安心して働ける職場作りに取り組んでいます」(鈴木社長)
鈴木社長はカットの技術とサービスの品質を維持するため、今後もFCではなく直営にこだわり、人間力を重視した人材育成にも力を入れる。